1941年のクリスマス中止のお知らせ

アントニー・ビーヴァー著 堀たほ子訳『スターリングラード 運命の攻囲戦1942-1943』朝日文庫
その中でモスクワ戦に参戦したドイツ軍兵士たちが書き残した「クリスマス中止のお知らせ」というビラがあったので転載してみます。

クリスマスの祝いは次のような理由で本年は行わない。
理由一、ヨゼフが軍に召集された。
二、マリアは赤十字に参加した。
三、赤子のイエスは他の子供たちと一緒に田舎に疎開させられた。
四、三人の賢者はアーリア人であるとの証拠がなかったためビザを取得できなかった。
五、灯火管制のため星が出ない。
六、羊飼いは歩哨に立ち、天使は女子通信手(プリッツメデルン)になっている。ロバだけが残っているが、ロバだけではクリスマスは祝えない。

ロバが愚者の暗喩、ナチス党、ひいてはヒトラーを指すのはいうまでもない。