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官能小説の奥義 (集英社新書)

官能小説の奥義 (集英社新書)

官能小説といっても渡辺淳一のようなエロ描写が表現の一つとしてあるものではなく、フランス書院などエロそのものを目的とした小説*1について解説している。
モザイクがかかっているとはいえ視覚に頼るヌードグラビア・AVと異なり、官能小説であからさまに名称を記し卑語を地の文で連呼してもあまりの直截さに読者の妄想はなえてしまう。官能小説家が頭を絞り、より斬新かつ読者のイマジネーションを刺激すべく考え出された官能的な比喩表現を豊富な(本当に豊富な)実例をあげて分類し、あげくに官能小説講座までひらいてくれちゃうのがこの本だ。
たとえば女性器など、著者によれば5流派、それぞれ植物・魚貝・動物・陸地・直接(俗語や医学用語など)派にわかれるのだとういう。それぞれ官能小説の碩学的な知識でもって的確な実例を引用し解説する。このほかにも「性交描写の方法」の章も、恋愛・癒し・嬲り・陵辱・絶倫とこれまた5分類し実例を列挙してくれる。
このように官能小説のパターンを解析してみせたのちはストーリー展開の解説にうつり、「官能小説の書き方十か条」読み終える頃にはリッパな官能小説家の卵の誕生というわけである。

また筆者は官能小説初心者向けの創作練習法まで考案しているが、これはエロ小説志願者なら一度は読んでおいてもいいかもしれない。


いやしかし、一口に官能小説といっても千差万別。本書の豊富な引用文例をながめるめだけでも作家ごとのカラーがみえておもしろい。



とりあえず、これを読んで学んだ技術をもってヤンデレオンリー「病み鍋PARTY2」に臨もうと思います。一応、新刊を出す予定なので。
11/11の病み鍋PARTY2では、「Purple concrete」で参加。鉈も斧も包丁もでてこない近親ヤンデレ小説になるはず。エロがあるかどうかあやしいけど。

*1:これを著者は「純官能小説」と呼び、失楽園などと区別している。