装甲悪鬼村正感想
木箱(焼桐)が印象的な初回特典版。畳敷きの部屋におくと風景に溶け込むが、エロゲ売り場での異様さは類するものをしらない。
nitro+10周年作品に相応しい傑作だった。
60時間あまりのプレイをやりおえて虚脱したエロゲは久しぶりだった。感動したとか泣けたとか萌えたとかではなく、虚脱した。
「善悪相殺」はほとんど禅問答でしかない、正しい答えなどなく、おのおの納得するほかない。個人的に悪鬼編で主人公の出した回答が正しいとはおもえないが、あれは道のひとつではある。
戦闘は基本的にパワードスーツ的な劔冑を用いるがそれでいて一手先が読めない心理戦なので常に薄氷の上を踏むような心地で文章を読み進めねばならない。斬った、とおもったは自身の未来、現実は何もない空間を切り裂いただけという展開が当然のように待ち構えている。
体験版プレイ時の予想よりも宮様・朝廷が陰謀めぐらしてて満足。難を言うならGHQが新大陸独立派(アメリカンドリーマー)の顔見世だけでおわってのが残念か。
劔冑の騎航戦よりも地に足つけた武者の斬り合いのほうが印象に残った。獅子吼戦なり体験版2章の右京戦なり瑞陽戦なり。じりじり精神削りあう一騎打ちはたまらない。
笑ったのは正宗と一刀流奥義魔剣インメルマンターン。正宗さん、中二病というかν速民じゃないですかありゃ。あんな劔冑じゃ仕手がなかったのもわからなくはない(正宗のほうから拒んでいたのだろうけれど)。一条さんが武装錬金の貴子さんに似てるからって「臓物をぶちまけろ!」をやるとはおもわなんだな。正義のキチガイ劔冑。インメルマンターンはでるだろうとはおもっていたしスペック的に真打に圧倒される数打が勝利しうる数少ない戦法を編み出したとはいえ「そうきたかw」としかおもえない。
体験版1章・2章がこのエロゲをよくあらわしている。二章までプレイしてあわなければ回避すべきだし、何かおもうところがあればぜひ最後まで遊んでほしい。そんなエロゲ。
長すぎて、書きたいことはいっぱいあるけどなにから書いたらいいかわからない、そんな気分だ。
システムについて。
3D部分はニトロ3D班の全力投球しただけあって文句のつけようがない。一方、ADVエンジンはいつものニトロよりなお重く、選択肢表示にストレスを感じるほど。Core2Duoでももたつくってどんなスクリプトだよ。おかげで復讐編・魔王編終盤の選択肢総当りは苦痛以外の何者でもなかった。ライターのやりたいことはわからんでもないが、システムがそれに適応してないとどうにもならない。その意味で、立体魔方陣も意味不明すぎた。なんの意図があったのかさっぱり。ライアーノーツみるにシナリオの奈良原一鉄本人はノリノリだったようだが。
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