鬼まり。騒動におもうこと

主観的に書くよ。ソースはまったくないよ。ついでに鬼まり。は様子見で買ってないよ。

『鬼まり。』追加ダウンロードサービスについて

この度は『鬼まり。』をご購入いただきまして誠にありがとうございます。

ご購入いただきました皆様のご意見を元に、ご購入様限定で『鬼まり。』追加ダウンロードサービスをさせていただくこととなりました。サービス内容の詳細については、検討させていただいて後日発表いたします。
今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。

今後とも変わらぬご支援ご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い致します。

13cm/130cm代表 上原功士

http://130cm.jp/main.php


 アーヴォリオ・13cmがエロゲで無茶なことをするのは今に始まったことではない。エロが薄かったり終盤端折り気味だったり購入者を想定せずに製作者が好き放題にしているゲームなど過去にいくらでもある、というか僕の中でのアーヴォリオ・13cmとはそういうブランドイメージ。その合間合間に普通の抜きゲーをリリースしていた。

 それでも、ネット上で大いに批判されたとしても平然としていた。また騒ぎになるほどのことはなかった*1。「鬼うた。/鬼まり。」が批判されたのは販促広告・制作日誌のノリから消費者が想定した期待と本編とがかけ離れていたことが一番の要因だとおもうが、たとえば13cmの「ネコっかわいがり!」や兄弟ブランドといっていいotherwiseの「未来にキスを」もそうした詐欺的販促をしていたが、不満しかでなかったといえば否でむしろ琴線に触れた連中(僕もその一人だ)には歓迎されているように思える。
 ではなぜ「鬼まり。」に批判が集中するかというと、顧客満足度、これに尽きる。このブランドの販促と実態がかけ離れた過去作品はいずれも何かしら評価され一定の支持をうけたが、「鬼まり。」にはそれがなかった。


 すでに辞めているがかつて130cmで原画・シナリオを手がけたみやま零のコメントがこの問題をよく捉えているだろう

「ここをしっかりやれば、こういう評価が返ってくる」という部分を設定し、点数を稼ぐ。
「ここはこういう批判が来ると予想しているけど、最小で抑えられるようにしておく」というダメージコントロール
「力を入れても抜いても売り上げ・評価に関わらない」部分に必要以上の力を入れない見切り。

ゲームの幅広い要素に感覚的にこの3つを当てはめて個別に対応する作り方が、予算なり、人材なり、製作期間の余裕なりのリソースの少ない小ブランドの基本だと思います。

「ラストオーダー」で元長さんが去り、「ネコかわ」でうつろさんが去り、残ったいくらかを使った「カノギ」で自分が去り、あとは「ネコかわ」から入り、「カノギ」で片翼だった西空康誠さんだけが残っていました。
そこから「泉水いこ」さんがディレクターもされる段階で、ディレクター向けの部分の継承が弱くなったのかな、と思います。
今の内部を知らないので、想像ですけれど。

 どんどん人が抜けていく会社組織はさておき、「鬼まり。」は飛び抜けて印象に残るなにかも評価されるシナリオも、そしてそうしたものがない最後の拠り所にしてエロゲの本髄たるエロもなにもかもが足りなかった。原画・塗りと泉水りこのヤンデレを語るハイテンション開発日誌はよかったけれども。
 制作陣がやりたかったことを隠し、売ることを全面に押し出した販促展開は問題ではない。13cmブランドでは過去何度もあったことだし、ニトロプラスも一時期、「沙耶の唄」「"Hello, world."」で詐欺同然の販促を行っている。ただいずれも、程度はあれ購入したユーザーの何割かを満足させる何かがあった。「鬼まり。」にはそうした何かがまったくなく、製作者のやりたかったこと(あるいはやりそこねたこと)と開発費やスケジュールに圧迫された本編だけが残された。ただそれだけのことである。


 UYE!の人をおちょくったような対応は昔からなので気にしてはいけない。ただ、あれはあくまで「面白い」ゲームを提供している限り許される芸風だなあとは思う。追加DLを発売から数日で発表するなど、欲求 UYE!にしてはユーザーを宥めかそうと努めてはいるようであるが。
 今後は誰もが予約せず発売日にかわず、結果として多少の何かがあったとしても誰の目にもつかずに忘れ去られていくだろうけれども。

鬼うた。

鬼うた。

鬼まり。

鬼まり。

*1:ネット上の声が大きい13cmユーザーが「特殊」という括りで独特の価値観階層を構築していたせいもあるが。