ラノベこうた

ああこれは電撃小説大賞で一切賞をもらえなくて当然。まーちゃん(ヒロイン)の壊れっぷりがラノベとしては異常ですね。最後まで読めば、あくまで電撃文庫の範疇に納まっています。
タイトル通り、みーくんは完全な嘘つきでまーちゃんは完全に壊れてる人です。

主人公の一人称型叙述トリックをしかけているものの終盤がちょっと駆け足な印象(受賞できなかったのはここらへんが主な理由な気がする)。扱いきれず主人公の独白で語らせちまったのは残念。
それ以外は悪くない。ヒロインのキチガイ描写とイマ風なテキストと微妙に刺激的な残酷表現のほかに何があるかというと何もないけれども。
まーちゃんはヤンデレではない*1ヤンデレ風味といわれればそうかもしれないがヤンデレではない。しょっぱなから壊れているし、別に主人公のことを愛するあまりに狂ったわけではない。そもそも彼女は自分の中にある「大好きなみーくん」像以外にみーくんを認識できていない。
でもこの小説は、電波系ヤンデレが好きな人たちには普通のラノベが好きな人たちよりもまだ受け入れられそうだ。佐藤友哉レベルの粘着質な文体と発想でみーくんとまーちゃんの関係を描いていたらどうなったんだろうなあ。


左の表紙とカラー口絵はよい。ただ、挿絵をああいう表現で使うのだったらもっと別に適当な絵師にしたほうがよかったんじゃなかろうか。左の表紙絵を気に入って買ったとしたらまさに「イラストに騙された名無しさん」になる可能性あり。



カバー裏にはびびった。

*1:個人的主観に基づくヤンデレ定義による。主に愛情に絡んだ相手への執着心・独占欲・依存性の常軌を逸した発露がヤンデレだと考えている。この場合デレは必要ない。いや、ヤンデレにとってのデレとは病んだ瞬間にこそ発揮されているのではないだろうか?