最近かったもの

小学星のプリンセス (小学星のプリンセスシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

小学星のプリンセス (小学星のプリンセスシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

タイトルがすべて。地球人でいうところの小学校高学年程度の外見で成長がとまってしまう小学星のお姫様が平凡な高校生の主人公のところへ、幼いころにかわした約束をはたさんと押し掛け妻しにくる話。見た目は小学生でも中身はちゃんと17歳(世間というか地球知らずだけど)。賢しいデレデレロリが好きな人向け。二冊とも表紙はどうしようもないが本編もそんな内容。

ただひたすら陰陽師の薀蓄垂れるだけで終始したこの作者の前作陰陽師は式神を使わない (集英社スーパーダッシュ文庫)と比べれば小説としてきちんと盛り上がりがあり、ストーリーもあるがやはりSD文庫らしい迷作。
学園を舞台に戦国時代風の合戦を「史実」の合戦と重ね合わせて描いていくのはいいが、地図の不足から濃尾一帯の地形や城の位置関係がわかっていないとどうにもならない。ならば時代小説・SLGなどジャンルを問わず戦国時代が好きでかつわざわざラノベまで読む層がいまさら長篠の合戦桶狭間の合戦といった古臭い「定説」への突っ込みを読んでいて楽しいかというとそんなはずもない。登場キャラそのものは多いがその場その場の解説役か展開に驚くかの役割しか与えられていないのがおおく、キャラクタを重視するラノベとしては評価できない。
官位対応表やキャラクタの身分ごとに呼称を使い分ける細かさをみせるぐらいであれば、もうちょっと図表や挿絵を増補して「萌える戦国合戦」的な初心者向け解説本にしたほうがおもしろかったかもしれない。作者はそういった本のほうがむいていそう。