徳川家康 トクチョンカガン
- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2009/09/18
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「山岡荘八『徳川家康』、隆慶一郎『影武者徳川家康』――。そしていま、私たちはここに、これまでまったく描かれることのなかった、第三の家康と出会うことになる。鮮やかな傑作戦国小説の誕生だ。」
帯の文芸評論家縄田一男の推薦文は半分本当、残りはしょんぼり。
「関ケ原で家康は暗殺され、影武者と入れ替わっていた――」
これだけでも隆慶一郎『影武者徳川家康』を想起するなというのは無理な話で、むしろ作者はオマージュと言うかリスペクトというかそういった姿勢で描いているようだが、展開がそれにひっぱられる、あるいは読者が興冷めするのは当然のことである。さすがに引用までされると萎えるよ。
荒山小説に共通の朝鮮忍者大活躍や柳生宗矩無双などパロディ・ネタ要素はあるが、伝奇小説としておもしろくないのが残念。どうしても影武者徳川家康と比較してしまうのだ。もちろん、どちらがおもしろいかはいうまでもない。
他の時代小説家・伝奇小説家にはない「朝鮮」という得意分野があるのだから、そちらのほうでがんばってほしい。