「この学園における女生徒の社会的活動は、その下部構造<下半身的欲求>によって規定・抑圧されているんだわ!」

まるくすタン―学園の階級闘争 (A‐KIBA Books Lab)

まるくすタン―学園の階級闘争 (A‐KIBA Books Lab)

マルクス・エンゲルスをはじめとする社会主義者共産主義者をただ萌えキャラ化しただけのエロ小説と思いきや、かなり真面目に19世紀からの社会主義運動を学園物に換骨奪胎させてておもしろい。ヨーロッパ諸王国を複数の学園に、経済を恋愛に置き換えたお話。ブルジョアプロレタリアートを美人とブスとに置換したわけだ。ブスは支配層の好き勝手やってる美人達に搾取される、この体制は打倒されねばならない。
 まるくすタンとえんげるすタンが「下部構造*1の矛盾の解消」と称して「レンシェンちゃん」と名づけたメイドさんの人形で自慰をしたり、隣の学園でイケメンだけが彼氏彼女をもてるように仕向けた生徒会長が「彼女が欲しい? ならイケメンになりたまえ」と放言して暴動勃発、顧問の先生もろともアボーンしたりといった小ネタにニヤニヤできる人なら楽しめるんじゃないかな*2
第一部はまるくすタンとえんげるすタンのお話。19世紀の革命騒ぎをかっこいい/かわいい彼氏彼女を求める醜男醜女の学園暴動にスケールダウンして描写。第二部はまるくすタン学園卒業後、彼女の執筆した共産党宣言幽霊小説に影響受けた世代(れーにんタン、とろつきータン、すたーりんタンetc)が横暴な生徒会長の津在君を引き釣り下ろして多校対抗スポーツ大会から一方的に離脱したりするお話。まるくすタンの著作の二次創作をやったりデッドコピーの壁新聞を貼ったりまるくすタン×えんげるすタンエロ同人誌を発表したりと20世紀前後の革命家をマルクス萌えなだめな人と描写してるのには笑うばかり。


一応エロ小説レーベルだし、そういった描写もあることはあるけど、まあ誰も期待してないだろうしその予想を超える内容ではない。
ちなみに、当然のようにとろつきータンはピッケルで頭をブン殴られる、というオチはなかったのでやや残念。

*1:下腹部の謂

*2:こうした小ネタは各章末に付記された解説できちんと説明されるので、世界史やら社会主義運動ネタを知らなくとも理解できないわけではない